男性不妊の原因の3割「精索静脈瘤」とは?

2020.12.10
大半が無症状、原因と治療は?

質のいい精子を生産するには、生活習慣の改善でどうにかなるものと、外科手術が必要なものがある。外科的手術が必要なものの中でも一番多いのが精索静脈瘤だ。一説には男性不妊の原因の3割にも及ぶと言われているが、どのような症状で、どのような手術が必要になるのだろうか?男性不妊の専門家、恵比寿つじクリニックの辻祐治医師に話を聞いた。(取材:Bable編集部/撮影:栗原洋平)

――精索静脈瘤が一番頻度的に多い?

横浜市立大学の湯村先生が平成27年に統計を出したのですが、男性不妊のはっきりした原因で一番多いのは精索静脈瘤です。中でも“2人目不妊”、つまり1人目は比較的スムーズに授かったけど、それから何年かして2人目のときに精子の具合が悪くなっていてなかなかできない。そういう人はすごく精索静脈瘤の人の割合が多いんです。

――精索静脈瘤って、読者は男性不妊かもしれないと思った時に分かりやすく言うとどういう症状なんですが?

そもそも症状が出る人はすごく少ないんだけど。

8割が症状無自覚、日帰り手術で治療可能

――無自覚が多いのでしょうか?

無自覚の人がほとんど、8割くらいは無自覚でしょう。20%の人が症状がでるのですが、股間の部分に嫌な鈍痛みたいなのがあったりとか、膨れているのがあったり。ですから、診察か超音波検査しないと客観的にはわかりません。

精索っていうのは、陰嚢内にある精巣に連なる束状の組織です。その中には精子の通り道である精管、精巣へ出入りする血管(精巣動脈、精索静脈)、リンパ管や神経などが含まれます。

静脈は体の各所をめぐって心臓に戻る血管だから動脈に比べて、圧力がすごく低い。そのままだったら絶対に逆流してしまうから、逆流防止の弁がある。でも、精索静脈には弁の不具合が起きることが結構多くて、中には生まれつき弁がない人もいる。だから血液が逆流してきちゃう。精索の中の静脈に血液が逆流してこぶみたいになるのを精索静脈瘤といいます。では一旦睾丸を通って体内に戻るはずの血液が再び精巣の方に流れ込んでしまうと、なぜ精子の活動に悪影響を及ぼすかと言うと、それは体内の血液の方が2から5度高いから。精子を造る働きの大敵は高温。たった数度でも温かい血液に囲まれていると精子を作る環境がすごく悪くなってしまいます。

――そういうことだったんですね。

お母さんのおなかの中で成長する際の段階では睾丸はお腹の方にあって、生まれるまでに徐々に下の方に降りてくる。元々あった位置からするとすごく遠い。さらに小学校の高学年くらいから身長が一気に伸びると静脈も長くなる。身体的な変化や体型も精索静脈瘤の一因と考えられています。

――治療はどのような方法が考えられるのでしょうか?

超音波診察などによって度合いを見るのですが、重度になれば 外科手術が必要になります。局部麻酔を施し、陰嚢近辺を2cmほど切開しますが、痛みはほとんどありません。日帰りで手術は終わりますし、手術痕は元々目立たない大きさですし、毛が生えてくればほとんど分からなくなります。