現場の医師はどう見る?「不妊治療の保険適用」

2021.02.02
旬な不妊のニュースを解説

今週の不妊治療のニュース

Bable編集部が必ず読むべき不妊のニュースをセレクト。単なる速報記事だけではわからない「裏側」を医師にインタビューして解説します。

まず一本目はこちらのニュース

1:不妊治療の夫婦に費用助成、情報開示した医療機関での実施を条件に

https://www.yomiuri.co.jp/medical/20210126-OYT1T50310/

今後の不妊治療への助成金増額や保険が適用されるかどうか、注目が集まっています。

上記の記事の見出しにあるように読売新聞の独自ネタです。不妊治療の費用助成について、治療件数や費用の情報を開示している医療機関での実施を条件とする方針を固めた、とあります。患者側からすれば治療にかかる費用がわかる上に病院の「治療件数」などがわかることから「情報の透明化が進んだ」とありがたい制度のように思えます。

ただ、一方で医師からは「病院の“成績”のような形で情報を公開するのであれば、この施策は…」と疑問の声も上がっています。取材した医師は「私達は5%でも可能性があれば体外受精にチャレンジしたいと思って治療行為に臨んでいます。ですが、“成績”のような形で情報が公開され、口コミが広がっていくようなことになれば、可能性の低い患者さんの場合は『無理です』と言って断らなければなりません。患者さんのために一生懸命治療することと病院のために数字を上げることが両立しなくなってしまいます」と明かします。

果たして本当に情報公開制度は組み込まれるのか、注目が集まります。

2:92.7%が不妊治療の保険適用拡大に賛成!約4人に1人が今年第2子以降の妊活・不妊治療をすると回答

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000036.000008105.html

目下、菅政権下で「不妊治療の保険適用拡大」が進められています。本記事では92.7%が保険適用に肯定的な意見を持っているようです。ただ、保険適用の道のりはそう簡単ではなさそうです。

まずは薬機法(旧・薬事法)との兼ね合いです。現在クリニックで使用されている薬や機械の多くは薬機法の認可を受けていません。保険適用のためにはそういった多くの未認可薬品・機械を早急に認可する必要があります。

さらに認可されたとしても政府が定めた保険点数が低かった場合、クリニックとしては赤字が出てしまいます。ある医師に話を聞いたところ、「男性不妊で言えば精子検査。精子検査は保険適用されていますが、保険点数が低すぎます。これでは最新鋭の機械を使った詳細な検査はできなくなってしまいます。結局コストを抑えるために外注に出さざるを得なくなり、詳細な検査項目は結果としてでません」と話します。

逆に保険点数が高かった場合、「とりあえずうちも」と参入するクリニックが増加し、もしかしたら施術のレベルが下がってしまうことも考えられます。

多くの人が医療サービスを受けられるようにするために、保険適用を選んだ結果、医療のレベルが下がってしまう。そんな本末転倒な事態を招きかねません。

少子化対策は必須ですし、高額な不妊治療に保険が適用されることは喜ばしいことですが、注意が必要です。