無精子症でも妊娠は可能 100人に1人が抱える「無精子症」とは

2020.12.22
男性不妊のエキスパートが語る

男性不妊の原因の一つである「無精子症」。文字通り、妊娠に適した精子が無い症状だ。この病気は、一般男性にとって縁遠い病気ではない。発症割合は約100人に1人の割合とも言われているからだ。なお、昨今では、無精子症でも妊娠することが医学の進展によって可能になった。ではなぜ無精子症が発生するのか、どうすれば無精子症を解決し、妊娠することが可能になるのか。男性不妊の専門医である杉山産婦人科の寺井一隆医師に聞いた。(取材・文:Bable編集部/撮影:栗原洋平)

男性不妊の10人に1人が無精子症

無精子症とは、2回の精液検査で2回とも精子を確認できない場合に診断されます。男性不妊症の方の10人に1人が無精子症であるとの報告があります。

――無精子症は先天的なものなのでしょうか?

無精子症が遺伝による先天的なものなのか、食生活などの外部環境による後天的なものなのか、はっきりと原因が特定できないことの方が多いとされています。精子は精巣内の精細管と呼ばれる組織で作られ、精子の通り道である精管を通り、膀胱の下にある前立腺部尿道まで運ばれていきます。無精子症は“作る工程”と“運ぶ工程”のどちらがうまくいっていないのかにより、「閉塞性無精子症」と「非閉塞性無精子症」に分類されます。「閉塞性無精子症」は「精巣で精子が作れているが、通り道が詰まっていてでてこない」タイプの無精子症で「非閉塞性無精子症」は「そもそもうまく精子が作れていない」タイプの無精子症です。

後天的な無精子症では、細菌感染などにより精子の通り道が詰まって「閉塞性無精子症」になる場合や、癌の化学療法や放射線治療により、精子を造る機能が落ちてしまって「非閉塞性無精子症」になってしまうことなどが挙げられます。

先天的な無精子症でも、原因が明らかな例としては、生まれた時からに精子の通り道である精管がない場合は「閉塞性無精子症」であり、染色体検査や遺伝子の異常がある場合は「非閉塞性無精子症」となります。

ただし、先ほども申し上げたように、はっきりとした原因が分からない方も多くいらっしゃいます。

――無精子症から妊娠することは可能なのでしょうか?どのような治療法があるのでしょうか?

無精子症でも妊娠は可能

仮に無精子症であったとしても、精巣内に精子があれば妊娠は可能です。血液中のホルモンの検査や精巣の超音波、染色体や遺伝子の検査を行い、「閉塞性無精子症」なのか「非閉塞性無精子症」なのかを予測し、明らかに精子が作れない状態でなければ、手術を行います。「非閉塞性無精子症」の手術では精巣内の精細管を顕微鏡で観察し、精子がありそうな精細管を採取してきます。採取した精細管はラボにて処理し、顕微鏡にて精子を検索します。精子があった場合は凍結を行い、卵子を採卵したら精子を融解し顕微授精を行います。手術は局所麻酔で行い、手術当日に家に帰ることができます。術後数日間は精巣や下腹部に痛みを感じますが、1週間ほどすると立ったり座ったりする時に少し気になる程度の痛みになります。

また、「閉塞性無精子症」の手術で閉塞部位が明らかな場合は閉塞部位をバイパスするように精子の通り道をつなげ直すことで射出精子が出るようにすることも可能です。ただし、手術の成功率は100%ではないので、手術の適応については奥様の年齢などを考慮しなければなりません。

タイミングをとって性交渉しても、なかなかお子様ができない方は一度精液検査を行ってみてはいかがでしょうか。ご不安な方はぜひ一度ご来院して精液検査を受けてみてください。