【実録・男性不妊#3】治療は夫婦二人三脚、食生活の改善が必要

2021.01.08
不妊治療は年単位

Bable編集長・新井勇也に無情にも告げられた「精索静脈瘤」という病名。男性不妊であることはなかなかパートナーに打ち明けにくいのが現状だ。一方、女性も夫が「男性不妊なんじゃ…?」と思っていてもなかなか切り出せないという声もしばしば聞こえる。一体どうすれば夫婦関係に亀裂を入れることなく、すんなりと治療に乗り出せるのか。

これは、Bable編集長・新井勇也の1年半におよぶ男性不妊治療の記録である。

不妊治療は長期戦!

「精索静脈瘤」と診断された僕は家に帰るなり、妻に病気のことを告げる。返ってきたのは「原因が分かってよかった。日常生活で改善しよう」と心強い言葉だった。妻もどこかホッとした表情をしている。長い男性不妊治療の過程で僕は何度もパートナーの明るさに救われた。

多くの男性不妊で悩む「同志」と話してきてわかったことがある。それが「一人で抱え込まない」ということ。不妊治療は短期戦ではなく長期戦、一人で悩むよりもパートナーと医師の3人タッグで、ゴールに向けてちょっとずつ進んでいくようなものだ。もちろん自分の体のこと、それも妊娠という繊細なテーマに関わることだ。恥ずかしくなったり、時には悔しい思いもするかもしれない。でも思い切って、あけっぴろげに言うことが大事だろう。

とは言え、「もしかして、パートナーが不妊なんじゃ…?」と思ってもなかなか切り出せないのが実情だろう。夫に切り出せない女性も多くいるそうだ。そういう人のために「ブライダルチェック」という便利な言葉がある。多くのクリニックでは夫婦のために「性病の有無」や「卵子・精子の状態のチェック」ができる検査を設けている。

「あなた、不妊なんじゃない?」といきなり本題を投げ込んで険悪になる前に、「ブライダルチェックに行ってみない?」と言えばきっと“最初の一歩”は円満に踏み出せるはずだ。「不妊」というネガティブイメージの強い言葉が「ブライダダルチェック」と言い換えることで途端に前向きな言葉に早変わりする。

精子力向上には付け焼き刃は通用しない

「不妊治療はパートナーとタッグを組んで」と述べたが、その意味は精神的な支えになる、というだけではない。男性不妊の治療中は定期的に精子検査をしなければならない。その検査結果は各クリニックや検査の精度によっても異なるが、各項目を細かくチェックされ、「問題なし」と言われる水準まで、自分の精子のクオリティを上げなければならない。

そのために欠かせないのが日常生活の改善だ。よく、「睾丸のためにノートPCを膝の上に乗せないほうがいい」や「亜鉛が効くらしい」などと耳にしたことがある人も多いだろう。そう。男性不妊治療は実生活のリズムや習慣を何から何まで変える。僕の場合、特に激変した食習慣だ。それまでの僕は仕事一辺倒で、昼食・夕食ともにコンビニ飯やファストフードに頼りっきりだった。運動も皆無。「ブライダルチェック」を兼ねて訪れた最初の精子検査の結果は芳しくないものだった。

10年来の不健康な生活はそう簡単に変わりはしない。「健康診断の1週間前に慌てて断食してちょっと脂肪を落とす」みたいな付け焼き刃の対策では、精子はよくならない。

ある医者に言われた言葉が印象に残っている。「精子検査は騙せません。これまで歩んできた人生、その生活ぶりがすべて精子にでます」。

不妊治療は年単位の戦いになることは間違いない。さらに女性の場合、年齢の問題もある。だからこそ早めの検査に行くべきだし、パートナーとの対話が不可欠だ。