【実録・不妊治療】400万円かけた不妊治療、その結末は…?

2021.03.13
【#2】お会計で脂汗をかくことも…

不妊治療の情報は世の中にたくさんあれど、実際に悩み、治療した人のリアルな声はなかなか聞こえてこない。前回は「仕事への負担」や「不妊治療の男女格差」について実際の経験者から「気をつけるべき点」を赤裸々に話してもらった。今回は「経済的負担」についてFさんから話を聞こう。

総額400万円、不妊治療はカネがかかる

不妊治療で最も注意すべき点は「経済的な負担」だ。僕たちの場合、足掛け3年ほど不妊治療に取り組んだが、総額400万円ほどかかった。普通に新車が買える金額だ。不妊治療を始めた40代の夫婦にはあまり時間がない。とりあえず医者に勧められるままにすべての治療に取り組んだ。

僕の通っていたクリニックでは院内で採取した卵子とクリニックに持ち込んだ精子を体外受精させるのだが、卵子の採取できた数に応じて金額が増えてくる会計システムだった。通常、採取できる卵子の数は1、2個であることが多かったが、たまに調子いいと4つも採れれてしまう。卵子が多く採れれば受精のチャンスはその分増えていく。その分、お会計も倍々ゲームで増えることになる。

“カネか、受精か”。心の中で葛藤を続けていると、医師からは「どうしますか?」との声が。心の中では「お金どうしよう…」と思いながらも“マックスベット”するしかない。天秤は「受精」に傾いた。40代の不妊治療は数少ないチャンスにすべて賭けるしかなかった。

最終的にはすべての卵子で顕微授精にチャレンジすることになった。アシステッドハッチングという手法で受精を試みるのだ。(※編集部注:アシステッドハッチングとは体外受精をするにあたって、卵子の透明帯の一部を薄くしたり切開することで、子宮内で着床しやすくする技術のこと)。結局、1回の通院で顕微授精で何十万、移植するのに何十万、受精卵を採取するのに10万、その日1日の通院の結果、「お会計は50万円です」と言われて脂汗を流すこともしばしばだった。他にも1本5万円ほどする妊娠しやすくするためのホルモン注射にも取り組んだ。

もう一つ、痛感したのが「2人目不妊」ならではの難しさだ。つまり、通院中、1人目の子どもをどうするか、という問題だ。前回説明したように、クリニックでの不妊治療は半日以上もかかることもザラだ。その間にまだ幼い子どもの面倒を誰かに見てもらう必要がある。不妊治療の病院でなければ子どもを連れて行くこともできるが、治療内容が治療内容なだけに子ども連れはばかられる。周囲の「一人できてるからいいじゃないか…」という目線が気になってしまうのも事実だ。そもそも子どもを連れて入れないクリニックもある。仕事と育児、この2つを半日放り出して不妊クリニックへと通いつめるのは相当な負担だ。

300万円ほど費やした結果、僕たちは第2子の妊娠を諦めた。妻と話し合って、「もうここらへんで止めよう」と決断した。金銭的な負担もさることながら、年齢的な問題が大きかった。不妊治療が進んでいるとは言っても45歳が限界と言われている。さらに子ども一人での生活設計を考えていかなくちゃいけないっていう切り替えもあったし、その子にかけられるお金と時間を作っていくという風に切り替えないと走れないなと思ったからだ。

今30代の夫婦に言いたいことがあるとすれば、セックスはしておいた方がいい、ということだけだ。1人目が生まれてどんなに大変で寝る時間がなかろうと、2人目を考えているならすぐに子作りはしたほうがいい。1人目が生まれて5年間で、僕たち夫婦はセックスの回数が激減してしまった。もしタイムスリップができるなら、セックスの回数が減ってしまった5年間をなんとかしたい、と思っている。