【実録・不妊治療】気づいた2人目不妊、そして妻の涙

2021.03.05
【#1】40歳を迎えて始めた夫婦2人の不妊治療

不妊治療の情報は世の中にたくさんあれど、実際に悩み、治療した人のリアルな声はなかなか聞こえてこない。どんな施術内容でどれくらいお金がかかるのか。ならば、実際に不妊治療に取り組んでいる夫婦に話しを聞いてみよう。今回話を聞かせてくれたのはFさんだ。

発覚した2人目不妊

僕が不妊治療を始めたのは今から5年ほど前の2016年。当時、僕が42歳で、妻が41歳だった。きっかけは妻の「もう1人欲しい」という一言だった。実は1人目の娘は難なく妊娠することができた。初めての子どもということもあって、育児の大変さに追われていたら、気づけば40歳を超えていた。「2人目を授かるにはギリギリのタイミング」。僕も妻も自覚していた。さらに追い打ちをかけるように娘からも「弟か妹が欲しい!」の声。

これは頑張らずにいられない。だが、半年間ほどタイミング法で子作りに励んだものの、思うような結果は出なかった。

そこでクリニックに行って検査したところ、2人とも自然妊娠は難しいと告げられた。妻からは卵子を取ることができず、僕の精子の状態も芳しくない。精液検査の結果はでは、量は問題なかったものの、奇形精子率が高く、運動率も低かった。典型的な「2人目不妊」の状態だった。

「2人目不妊」とは1人目が生まれ、子育てしているうちに、妊娠可能な状態を過ぎてしまうことだ。

ついに医師からは体外受精も考えた方がいいのでは?との一言が。僕は思わず「それで子どもができるならぜひ」と答えてしまった。ふと妻を見ると泣いていた。ハッとした。その時は声をかけることができなかったが、多分色々思うところがあったんだろう。自分の年齢に限界を感じているのかもしれないし、不妊治療が始まればまともにセックスをしなくなる。治療のためだけに互いの卵子と精子を出す生活…。そんなことを考えると悲しくなってしまったのだろう。即答してしまった僕が浅はかだったのかもしれない。

とはいえ、妻と話し合って体外受精を選んだ。そこから長い道のりが始まった。

人工授精を考えている人がいるなら“何点か”覚悟したほうがいいことがある。何より気にするべきなのは女性側の負担だ。僕の場合、妻とクリニックに行って治療を受ける時は必ず付き添っていた。採卵の際に痛みを伴うからだ。麻酔をしていても体への負担は尋常ではない。一方で、男性側は特にやることはない。朝に採取した精子を良い保存状態でクリニックに持っていく。それだけだ。この「身体的負担」という点で男女差がある。不妊治療は二人三脚だ。病院に行っても特に僕たち男性側はできることはないが、付き添いだけは怠らないようにした方が良い。ちなみに、カウントしてみたところ、夫の付き添いで来院しているのは2割程度だった。

もう一つ、気をつけなければならないのは仕事への負担だ。待たされる時間が長く、10時にクリニックに行って終わるのは14時をすぎることもあった。それを多い時は週1のペースで通わなければならない。働き盛りの40代にとって、かなりの負担になる。その上、同僚や上司にはなかなか打ち明けにくい問題でもある。僕の場合は思い切って周囲に打ち明けることで先に理解を得るようにしていた。

そして最大の負担が「経済的負担」である。とにかく不妊治療にはカネがかかるのだ。

(後半へ続く)