「日本人の精子は最低レベル」は本当?獨協医科大学・岡田弘特任教授に聞く

2021.03.26
世界トップクラスの不妊治療の真髄とは?

獨協大学リプロダクションセンターは日本でもトップクラスの不妊治療の専門機関だ。獨協医科大学埼玉医療センターのリプロダクションセンターチーフディレクター務める岡田弘特任教授は「世界トップクラスの不妊治療を受けられる病院だ」と豪語する。一体何が違うのだろうか。岡田氏に話を聞いた。(取材・文:Bable編集部/撮影:石橋俊治)

世界トップクラスの不妊専門機関とは

ここは男女両方を治療する不妊専門機関です。もちろん男性だけを診る場合、女性だけを診る場合もあります。卵子も精子も総合的にここで診て、治療を始めます。遺伝子レベルの検査から、体外受精も可能ですし、さらに出産までここでできます。治療、受精、出産までワンストップですべての治療が完結できるのが強みです。

――他にはどういう施設があるんでしょうか?

設備面では世界トップクラスのものを揃えています。さらに採精室が7部屋ありますし、手術で使う顕微鏡、は1台数千万円します。他のクリニックとは桁が一個違う。クリニックと違って大学病院なので、検査機器は充実していると思います。CTひとつとっても他のクリニックに比べて遥かに高性能で数億円するものものあります

――単体のクリニックだとできることに限界がありますよね。

病院としての総合力が強いと思います。世界の病院ともまったく遜色ないレベルだと思います。当院のデータを見ても明らかにここの体外受精率は高い。他のクリニックで治療しても妊娠できなかった方々が当病院にはいらっしゃいますが、それでも55%の夫婦で子どもができます。

日本の精子は最低レベル、は本当か?

――不妊のプロフェッショナルにお伺いしたいのですが、以前、NHKスペシャル『ニッポン精子力クライシス』で衝撃的な報道がなされました。欧米で精子が40年で半減したという番組でした。

その結果は多分合っているんでしょうけど、はっきりと「下がってきた」というのは難しいんです。集団のサンプリングの方法にもよるんですよ。例えば軍隊に行っている人なら、軍隊に行って精液検査をするというバイアスが入ってしまいます。国民全員に検査を義務化したり、全員を対象にランダムに検査するなどはできません。男性不妊の病院に来院した人だけを対象に検査すれば検査結果が良くないのは当たり前ですよね。

――ただ気になるのは欧米に比べて日本の精子は最低レベル、という報道がされていたことです。これは本当なんですか。

これは間違いなく本当です。日本人の精子は数も少なければ運動率も悪い。欧米と比べて、ではなく、アジアの中でも飛び抜けて日本人の精子は弱いし少ない。まだ明確な理由は分かっていないんです。

――生活習慣なども影響するのかと思います。更に睡眠時間が6時間半未満だと7時間以上の人より精子の数が2割も少ないと聞きました。

だからと言って、睡眠時間を長くしたら戻るのかというと、一概にそういうわけではない。ただ、十分な睡眠がプラスに働くことは間違いない。睡眠時間が少ないとストレスで身体は錆びますからね。ストレスで酸化して、DNAが壊れてしまう。生活習慣が大事なのは間違いないですね。