「この言葉、知ってる?」男性不妊の用語をわかりやすく解説

2021.02.09
不妊治療は知らない言葉だらけ

東京都は不妊治療にあたった夫婦に対して治療に要した費用を助成しています。Bableではここに制度の概要をまとめましたが、実際に目にしてみると、よくわからない単語がずらりと並んでいます。まずは助成の対象になる男性側の不妊検査の概要について説明していきましょう。

■精液検査

精液検査は男性不妊に悩んだ方が最初に受ける検査です。多くのクリニックで実施していますが、値段や保険の適用の有無もバラバラです。検査に使用する機械などによって測定項目は変わります。なお、病院内で採取して1時間ほどで検査するのが一般的ですが、自宅で採取して持ち込むことも可能です。持ち込む場合は保存環境によって大きく結果が変わってしまうので、病院内で採取するのがおすすめでしょう。WHOの定める基準値は以下の通りなので参照してください。

■内分泌検査

採血によって行う検査です。血液中の、男性ホルモン(テストステロン)や性腺刺激ホルモン(LH、FSH)、を測定し、下垂体や精巣の機能を評価します。これによって精液異常の原因を検索することができますし、勃起障害や射精障害がある場合にも必要です。

■精子受精能検査

濃度や運動率などを調べる精液検査では調査できない精子の能力が受精能力となります。(精液検査で測定できる項目の基準を満たしていても受精能力を持っているとは限りません)

受精の時、精子は卵子の殻の部分を破って中に入っていきますが、これが出来ないと卵子と一緒になることができません。

この力が精子にあるか調べる検査の事を精子受精能検査と言います。
この検査結果が悪い場合、精子が卵子の中に入るのに手助けが必要=顕微授精が必要となります。

■遺伝子/染色体検査

主に無精子症の方が受ける検査になります。

男性不妊の分野では「Azoospermic-factor(AZF)領域」という領域にある遺伝子群が造精機能障害と関係していることが近年明らかになりました。

このAZFは、男性の性染色体であるY染色体上に存在し、この領域が欠失(一部が失われること)していると無精子症や高度乏精子症となることがあります。

単純にAZFa,AZFb,AZFcの欠失だけではなく、b+cなど様々な欠失パターンも存在することが分かっており、
EAA (European Academy of Andrology) およびEMQN (European Molecular Genetics Quality Network) が発行したガイドラインによるとAZFa、AZFb、AZFb+cが完全欠損部位の場合、TESE(精巣内精子回収術)による精子回収の可能性は存在せず、AZFcのみが完全欠損部位の場合でも精巣内精子採取の可能性があり、顕微授精により妊娠できる能性が存在します。

AZFは、現在唯一有効な精子が回収できるかどうかを判断するための明確な根拠であり、無精子症でTESE(精巣内精子採取術)を行う場合、無駄になってしまう事を回避するための重要な検査です。